ご無沙汰しております。
ずいぶんと更新をサボっておりました。。。
Facebookの方ではいろいろ投稿してたんですけどね。
昨年夏のオーストラリア行きはほぼ成功裏に終わり、オーストロバイレヤの花も撮れたし、トリメニアの花も撮れたし、なかなか充実した撮影旅行になりました。特定の花にここまで力を入れたことは今までなかったので、出発前の緊張感が大きかっただけでなく、達成感もまた大きかったです。
さて、そんなオーストラリアの報告を書かなきゃいけないところですが、久々の更新なので、どーんとデカイ話で行きましょう。
新しいカメラを買ってしまいました!…ほんと、「買ってしまった」って気分。ニコンのフルサイズ機、D800Eです。○○回ローンですが。。。
もともと僕自身、そんなにフルサイズ機に憧れは無かったんです。価格的な面はもちろんありますが、APS機ならではの機動力がフィールドでは強みになるんじゃないか、と。だからD300Sの完成度には十分満足していたし、まわりにフルサイズ機を使ってる人がいても気にしてなかった。
でも、いまの会社でD800を買うことになって、実際に仕事で使いだすと、やっぱりスゴイんですよね。。。レンズの性能も含めて、もう圧倒的な解像度。むしろ、これだけの解像度は通常の印刷用途では持て余すほどです。じゃあ…です。この解像度はどこで活きてくるのか? 緻密な風景写真を撮って、大伸ばしでプリントしたい人間…たぶん。つまり、自分にこそ必要なカメラなんじゃないの? いま取り組んでいるテーマ「花の来たみち」には気合を入れていきたいし、これはもう、買うしかないだろう! いつ買うの? 今でしょ!?(←旬のネタ入れてみた) そんな感じで購入に踏み切ったわけです。
いろいろとレンズ選びに頭を悩ませ、現物がやってきたのは数日前。
レンズはひとまず、
★AF-S 16-35mm F4.0
★AF-S 24-70mm F2.8
の二本立てでいくことにしました。ナノクリ小三元シリーズの広角ズームと、大三元のシリーズの標準ズームです。広角ズームに関しては、14-24mmの凄さを十分に理解した上で、やっぱりフィルターが使えないのは困るので、こっちにしました。望遠側は手持ちの70-300で勘弁してもらうことに。
そして本日、気になる写りの方をテストしてきました。
被写体は我が一身田町の誇る高田本山専修寺の御影堂。Avモードで撮影し、ライブビューで正面の丸瓦にピントを合わせました。現像はLightroom 4で、レンズプロファイル補正、シャープネス、ノイズリダクション等は一切かけてありません。若干アンダーですが、そのままにしてあります。それと、三脚がそれほど立派なものではないので、風によるカメラブレがあり得るかもしれません。まずは各レンズのF5.6における画像を、リンク先のフル解像度で御覧ください。


いやはや、あらためてすんごい解像度です。どちらも十分すぎる写りです。…が、もう少し細かく見てみましょう。いくつか気になるポイントがあります。
①16-35と24-70では重複している焦点域(24mm〜35mm)があるのですが、どっちを使ったほうが賢いのでしょう? そりゃまあ24-70だろうって気もしますが、一応は確認。
②画素ピッチの小さいD800は、小絞りボケ(回折現象)の影響が大きく出るようです。具体的にはF11あたりから解像度が落ち始めるとか。でも風景写真だとF16ぐらいまで絞り込みたいときもありますよね? はたして使い物になるんでしょうか? F16のサンプルがあまり見当たらない(みんな避けてるのか?)ので、これもチェック。
③さらに、小絞りボケの起きた写真を、シャープネス処理でどれくらい救済できるのか? これは現像の段階でのチェック。
④そして一番気になるのが、モアレ。僕は風景写真がメインの用途なので、たとえ僅かでも鮮鋭度で勝るD800Eを、あまり悩まず選びました。中判デジタルなんて、みんなローパスレスだし。でも、「モアレの心配の無いD800のほうがいい」という声もちらほら耳にします。実際のところ、どんなものでしょう?
まずは①と②を検証するため、28mmにおける画像の等倍切り出しを、絞り値の順に並べてみました。画像の中央付近に加えて、右端も掲載してあります。28mmという焦点距離を選んだのは、互いのレンズのズーム端を避けるため。画角の誤差が少しあります。

やはり16-35で24-70に挑むのは厳しかったようです。。。16-35はF4.0スタートの分、開放からそこそこシャープかなと期待したのですが、中央付近でもかなり甘く、F8.0まで絞ってようやく24-70に追いつくような感じ。24-70はF4.0からキレキレですね。右端だとこれがさらに顕著。大三元の中では評価の低い24-70ですが、やっぱりすごい。右端を見る限り、色収差に関しては16-35のほうが押さえられているようですが、現像段階で色収差除去をかければこの差も消えます。
つづいて小絞りボケの影響。どちらのレンズも1段絞ったあたりから画質がぐっと良くなり始め、F5.6、F8.0あたりでピークを迎えます。小絞りボケの影響はF11から。でもまだ開放よりはキレてます。そしてF16、明らかに甘いです。開放と同じくらいかな。16-35は開放が甘い分、それよりはマシでしょうか。
24-70mm、F16で撮影したものに、軽くシャープネスをかけてみました。

ふむふむ。F5.6やF8.0ほどクリアではありませんが、まあ使えなくはないんじゃないでしょうか。
気になるモアレです。24-70mm、F5.6の等倍切り出しです。

やっぱり出てます。棟瓦の積み重なっている部分にカラフルなグラデーションが。でも、試しに補正ブラシでなぞってみたら、そこそこ目立たなくなったし、そんなに恐れるものではないかも。それに、こんな面白い結果が出ました。

比較として撮影したD300S + DX 10-24mmの画像です。ほぼ同じ画角になる18mm、F5.6です。棟瓦の部分、しっかりモアレが出てませんか? しかもD800Eよりひどいように見えます。どこかにも書いてありましたが、ローパスレスだ!モアレだ!と神経質になりすぎているだけで、カメラとレンズの組み合わせによっては、ローパスありのカメラでもモアレは十分出るということなんでしょう。
では、まとめましょう。
16-35と24-70の重複する焦点域ですが、絞り込まずに使うなら、やっぱり24-70。でも広大な風景を絞り込んで撮影するなら、(回折の影響で)差は少なくなるので、どっちでもよし。手ぶれ補正の有無とか、ズーム域の違いとか、そのへんで判断することになりそうです。あくまで28mmの比較に基づいていますが。
小絞りボケの問題では、やっぱりF16の画質は悪い。でも、被写界深度が浅くてピント面がシャープなのと、パンフォーカスで小絞りボケが出ているのでは、まったく作品の意図が異なってくる。だから場面によっては使っていいと思う。
モアレは確かに出る。でも目くじら立てるほどのもんじゃない。気にし過ぎない。
以上、今さら感のあるファーストインプレッションで失礼いたしました。
ずいぶんと更新をサボっておりました。。。
Facebookの方ではいろいろ投稿してたんですけどね。
昨年夏のオーストラリア行きはほぼ成功裏に終わり、オーストロバイレヤの花も撮れたし、トリメニアの花も撮れたし、なかなか充実した撮影旅行になりました。特定の花にここまで力を入れたことは今までなかったので、出発前の緊張感が大きかっただけでなく、達成感もまた大きかったです。
さて、そんなオーストラリアの報告を書かなきゃいけないところですが、久々の更新なので、どーんとデカイ話で行きましょう。
新しいカメラを買ってしまいました!…ほんと、「買ってしまった」って気分。ニコンのフルサイズ機、D800Eです。○○回ローンですが。。。
もともと僕自身、そんなにフルサイズ機に憧れは無かったんです。価格的な面はもちろんありますが、APS機ならではの機動力がフィールドでは強みになるんじゃないか、と。だからD300Sの完成度には十分満足していたし、まわりにフルサイズ機を使ってる人がいても気にしてなかった。
でも、いまの会社でD800を買うことになって、実際に仕事で使いだすと、やっぱりスゴイんですよね。。。レンズの性能も含めて、もう圧倒的な解像度。むしろ、これだけの解像度は通常の印刷用途では持て余すほどです。じゃあ…です。この解像度はどこで活きてくるのか? 緻密な風景写真を撮って、大伸ばしでプリントしたい人間…たぶん。つまり、自分にこそ必要なカメラなんじゃないの? いま取り組んでいるテーマ「花の来たみち」には気合を入れていきたいし、これはもう、買うしかないだろう! いつ買うの? 今でしょ!?(←旬のネタ入れてみた) そんな感じで購入に踏み切ったわけです。
いろいろとレンズ選びに頭を悩ませ、現物がやってきたのは数日前。
レンズはひとまず、
★AF-S 16-35mm F4.0
★AF-S 24-70mm F2.8
の二本立てでいくことにしました。ナノクリ小三元シリーズの広角ズームと、大三元のシリーズの標準ズームです。広角ズームに関しては、14-24mmの凄さを十分に理解した上で、やっぱりフィルターが使えないのは困るので、こっちにしました。望遠側は手持ちの70-300で勘弁してもらうことに。
そして本日、気になる写りの方をテストしてきました。
被写体は我が一身田町の誇る高田本山専修寺の御影堂。Avモードで撮影し、ライブビューで正面の丸瓦にピントを合わせました。現像はLightroom 4で、レンズプロファイル補正、シャープネス、ノイズリダクション等は一切かけてありません。若干アンダーですが、そのままにしてあります。それと、三脚がそれほど立派なものではないので、風によるカメラブレがあり得るかもしれません。まずは各レンズのF5.6における画像を、リンク先のフル解像度で御覧ください。

D800E + AF-S Nikkor 24-70mm f/2.8G ED

D800E + AF-S Nikkor 16-35mm f/4G ED VR
いやはや、あらためてすんごい解像度です。どちらも十分すぎる写りです。…が、もう少し細かく見てみましょう。いくつか気になるポイントがあります。
①16-35と24-70では重複している焦点域(24mm〜35mm)があるのですが、どっちを使ったほうが賢いのでしょう? そりゃまあ24-70だろうって気もしますが、一応は確認。
②画素ピッチの小さいD800は、小絞りボケ(回折現象)の影響が大きく出るようです。具体的にはF11あたりから解像度が落ち始めるとか。でも風景写真だとF16ぐらいまで絞り込みたいときもありますよね? はたして使い物になるんでしょうか? F16のサンプルがあまり見当たらない(みんな避けてるのか?)ので、これもチェック。
③さらに、小絞りボケの起きた写真を、シャープネス処理でどれくらい救済できるのか? これは現像の段階でのチェック。
④そして一番気になるのが、モアレ。僕は風景写真がメインの用途なので、たとえ僅かでも鮮鋭度で勝るD800Eを、あまり悩まず選びました。中判デジタルなんて、みんなローパスレスだし。でも、「モアレの心配の無いD800のほうがいい」という声もちらほら耳にします。実際のところ、どんなものでしょう?
まずは①と②を検証するため、28mmにおける画像の等倍切り出しを、絞り値の順に並べてみました。画像の中央付近に加えて、右端も掲載してあります。28mmという焦点距離を選んだのは、互いのレンズのズーム端を避けるため。画角の誤差が少しあります。

やはり16-35で24-70に挑むのは厳しかったようです。。。16-35はF4.0スタートの分、開放からそこそこシャープかなと期待したのですが、中央付近でもかなり甘く、F8.0まで絞ってようやく24-70に追いつくような感じ。24-70はF4.0からキレキレですね。右端だとこれがさらに顕著。大三元の中では評価の低い24-70ですが、やっぱりすごい。右端を見る限り、色収差に関しては16-35のほうが押さえられているようですが、現像段階で色収差除去をかければこの差も消えます。
つづいて小絞りボケの影響。どちらのレンズも1段絞ったあたりから画質がぐっと良くなり始め、F5.6、F8.0あたりでピークを迎えます。小絞りボケの影響はF11から。でもまだ開放よりはキレてます。そしてF16、明らかに甘いです。開放と同じくらいかな。16-35は開放が甘い分、それよりはマシでしょうか。
24-70mm、F16で撮影したものに、軽くシャープネスをかけてみました。

ふむふむ。F5.6やF8.0ほどクリアではありませんが、まあ使えなくはないんじゃないでしょうか。
気になるモアレです。24-70mm、F5.6の等倍切り出しです。

やっぱり出てます。棟瓦の積み重なっている部分にカラフルなグラデーションが。でも、試しに補正ブラシでなぞってみたら、そこそこ目立たなくなったし、そんなに恐れるものではないかも。それに、こんな面白い結果が出ました。

比較として撮影したD300S + DX 10-24mmの画像です。ほぼ同じ画角になる18mm、F5.6です。棟瓦の部分、しっかりモアレが出てませんか? しかもD800Eよりひどいように見えます。どこかにも書いてありましたが、ローパスレスだ!モアレだ!と神経質になりすぎているだけで、カメラとレンズの組み合わせによっては、ローパスありのカメラでもモアレは十分出るということなんでしょう。
では、まとめましょう。
16-35と24-70の重複する焦点域ですが、絞り込まずに使うなら、やっぱり24-70。でも広大な風景を絞り込んで撮影するなら、(回折の影響で)差は少なくなるので、どっちでもよし。手ぶれ補正の有無とか、ズーム域の違いとか、そのへんで判断することになりそうです。あくまで28mmの比較に基づいていますが。
小絞りボケの問題では、やっぱりF16の画質は悪い。でも、被写界深度が浅くてピント面がシャープなのと、パンフォーカスで小絞りボケが出ているのでは、まったく作品の意図が異なってくる。だから場面によっては使っていいと思う。
モアレは確かに出る。でも目くじら立てるほどのもんじゃない。気にし過ぎない。
以上、今さら感のあるファーストインプレッションで失礼いたしました。
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太古の森に生きる、原始の花に会いに行きます。
「花のきた道」についてもっといろんなことを書きたかったのですが、旅の準備だったり、なんだかんだと忙しかたりして、ようやくいま書きだしています。いつも更新が滞ってて、ほんと申し訳ないです。
前回の記事で、これから原始的な花を追いかけていきたい、ということを書きました。このテーマを思いついたのは、今年の2月頃でした。僕はそれまで、今年もまた南アフリカに行くつもりでいました。南アフリカには、まだまだ写真に収めたい魅力的な植物があります。だから、これからも可能な限り、通い続けたいと思っています。ただ、ちょっとだけ違うことをやってみたくなったのです。
最近つくづく思います。時間は限られているなぁ、と。えらく悲観的な考えに聞こえますが、やっぱりそう思わずにいられません。
たとえば南アフリカ。2006年にはじめて訪れて、その後、2008年、2009年、2011年に2回と、5年間で5回訪れました。そのほとんどが、サキュレントカルーと呼ばれる砂漠植生の広がる南アフリカ西部です。ずいぶんいろんなところを訪れましたが、それでもまだ見れていない植物があります。僕はコレクターじゃないですから、何かの仲間を全種類写真に収めたい、とかそんな野望はありません。でもサキュレントカルーを代表するような植物は押さえておきたい、と思っています。そのためには、最低でもまだあと3回くらい。1年に1回とするなら3年は通わないといけないだろうなぁ、と思っています。…それを成し遂げたとしても、誰かからお金をもらえたり、出版のお話があったりするわけではないんですけどね。困ったことに。
南アフリカのサキュレントカルーというテーマだけで、ほぼ10年。ある人から「ずいぶん効率の悪いことをしてるね」と言われました。たしかに、ちゃんとしたツアーに参加すれば、もっと効率よく、短い期間で見たい植物を見れていたかもしれません。でも、そのためには個人で行く場合の倍以上の旅費が必要になりますね。僕にはちょっと無理です。それに、人に案内してもらうツアーでは、絶対に出会えないもの、味わえない体験があるだろうと僕は信じています。だからまあ、これでよかったのでしょう。
とにかく、仮にひとつのテーマに10年、いや、もう少し控えめに5年として、人生であとどれだけの作品テーマに取り組むことができるか。60歳までに6テーマ? それも、いまの生活が続けられたとして、の話になります。写真家として生計を立てているわけではないから、何がどうなるかはわかりませんよね。
植物好きなら一度は見てみたい、ラフレシアとショクダイオオコンニャク。アメリカ南部からメキシコにかけてのサボテン、とくにバレル・カクタス。南米のアンデスも、もう一度しっかり写真を撮ってみたい。ギアナ高地も死ぬまでには行ってみたい。もう一度ヒマラヤも。ヨーロッパアルプスも。西オーストラリア、ニュージーランドも…。いろいろと夢見ていましたが、どうやらそのすべては難しいかもしれません(何度も南アフリカ行ってるだけで贅沢な話ですね、すみません)。
それなら、どうせ行ける場所が限られているのなら、誰もやらないことをやってみたい。そう思うようになりました。いや、断っておきますが、誰も「できない」のではなく「やらない」だけです。僕はふつうの人間ですから、そんな大したことはできません。誰にでもできることです。ただ、ちょっと目線を変えれば、自分ならではのテーマを見つけることができるんじゃないか、と。
それが「花のきた道」です。
基部被子植物(Basal Angiosperm)と呼ばれる原始的な被子植物の一群を、片っ端から写真に収めて(全種は不可能だけど)、ずらっと並べてみたらどうなんだろう。その中には野草愛好家や植物写真家が見向きもしないような地味な植物もあったりするけど、そういうものも本気で撮影して、その植物としての特徴と魅力を最大限に引き出してやる。全部を眺め渡してみると、1億数千年前の初期の被子植物(=初期の花)の姿というか、試行錯誤のあとというか、何か見えてくるんじゃないだろうか。
…いや、何も見えてこない気が、大いにしてるんですけどね。でもその撮影の過程で、少なくとも僕の中では何か感じられることがあるでしょう。本質は過程にあると信じましょう。
この半年間、いろいろ思い悩んだり、準備したり、国内の撮影に出かけたり、「花のきた道」を追いかけてきました。僕の予定では、さらっと1年ぐらいで片付けてしまいたいテーマだったのですが、来年の夏までかかりそうな気がしてきました…。例えば、自生が極めて限られているオニバス(スイレン科)。いろいろ詳しい方にあたってみたりしたのですが、今年は生育が悪いらしく、撮影はかないませんでした。さらに海外の植物にまで目をやると、厄介なのがたくさんあります。アマゾンのオオオニバスなんて、どうしましょうね…。
そんな厄介な植物のひとつが、これから向かう森に待ち構えています。オーストラリア北東部の熱帯雨林に自生するツル植物、オーストロバイレヤ・スカンデンス(Austrobaileya scandens)です。困ったことに、この植物は気をよじ登って樹冠で花を咲かせます。近くで撮影するためには、木に登らなくてはいけません。
オーストロバイレヤを今回のテーマの最難課題と捉え、半年間いろいろと準備してきました。完璧だったとは言えませんが、できるだけのことはやってきたと思います。ツリークライミングの講習を受け、いろいろと練習していたのもこのためです。詳しい自生地については、現地の研究者とメールのやりとりをして教えてもらいました。彼の話では、低い位置に咲くこともあるようです。でも、できることなら樹冠で咲く姿を捉えたいので、ギア類はすべて持っていきます。ちょっと許可に関してはっきりしないところがあり、どうなるかわかりませんが。
その他にも目当ての植物があるのですが、長くなりすぎたので、このあたりで。
今回はMacBook Airを持って行って、向こうでポケットWifiを借りるつもりなので、電波さえ入れば、現地からの新鮮な便りをお届けできるかと思います。Facebookが中心になるかと思います。どうぞお楽しみにしていてください。乱文につき失礼いたしました。
最後にお礼。
このテーマを思いついて、まず最初にいろいろと話を聞かせていただいた東京大学大学院総合文化研究科・伊藤元己教授。オーストロバイレヤの自生地について何度もメールのやりとりに付き合って下さったオーストラリア科学産業研究機構(CSIRO)のAndrew Ford氏。トリメニアの自生地について詳しく教えて下さった金沢大学大学院・山田敏弘氏。トリトゥリアの標本写真など、貴重な情報を提供して下さったクイーンズランド・ハーバリウムのMega Thomas氏。ツリークライミングの様々な技術について的確なアドバイスを下さった、近藤さんほかツリークライミングクラブみゃあの皆さん。
どうもありがとうございました。
2012年8月24日 関西国際空港にて
「花のきた道」についてもっといろんなことを書きたかったのですが、旅の準備だったり、なんだかんだと忙しかたりして、ようやくいま書きだしています。いつも更新が滞ってて、ほんと申し訳ないです。
前回の記事で、これから原始的な花を追いかけていきたい、ということを書きました。このテーマを思いついたのは、今年の2月頃でした。僕はそれまで、今年もまた南アフリカに行くつもりでいました。南アフリカには、まだまだ写真に収めたい魅力的な植物があります。だから、これからも可能な限り、通い続けたいと思っています。ただ、ちょっとだけ違うことをやってみたくなったのです。
最近つくづく思います。時間は限られているなぁ、と。えらく悲観的な考えに聞こえますが、やっぱりそう思わずにいられません。
たとえば南アフリカ。2006年にはじめて訪れて、その後、2008年、2009年、2011年に2回と、5年間で5回訪れました。そのほとんどが、サキュレントカルーと呼ばれる砂漠植生の広がる南アフリカ西部です。ずいぶんいろんなところを訪れましたが、それでもまだ見れていない植物があります。僕はコレクターじゃないですから、何かの仲間を全種類写真に収めたい、とかそんな野望はありません。でもサキュレントカルーを代表するような植物は押さえておきたい、と思っています。そのためには、最低でもまだあと3回くらい。1年に1回とするなら3年は通わないといけないだろうなぁ、と思っています。…それを成し遂げたとしても、誰かからお金をもらえたり、出版のお話があったりするわけではないんですけどね。困ったことに。
南アフリカのサキュレントカルーというテーマだけで、ほぼ10年。ある人から「ずいぶん効率の悪いことをしてるね」と言われました。たしかに、ちゃんとしたツアーに参加すれば、もっと効率よく、短い期間で見たい植物を見れていたかもしれません。でも、そのためには個人で行く場合の倍以上の旅費が必要になりますね。僕にはちょっと無理です。それに、人に案内してもらうツアーでは、絶対に出会えないもの、味わえない体験があるだろうと僕は信じています。だからまあ、これでよかったのでしょう。
とにかく、仮にひとつのテーマに10年、いや、もう少し控えめに5年として、人生であとどれだけの作品テーマに取り組むことができるか。60歳までに6テーマ? それも、いまの生活が続けられたとして、の話になります。写真家として生計を立てているわけではないから、何がどうなるかはわかりませんよね。
植物好きなら一度は見てみたい、ラフレシアとショクダイオオコンニャク。アメリカ南部からメキシコにかけてのサボテン、とくにバレル・カクタス。南米のアンデスも、もう一度しっかり写真を撮ってみたい。ギアナ高地も死ぬまでには行ってみたい。もう一度ヒマラヤも。ヨーロッパアルプスも。西オーストラリア、ニュージーランドも…。いろいろと夢見ていましたが、どうやらそのすべては難しいかもしれません(何度も南アフリカ行ってるだけで贅沢な話ですね、すみません)。
それなら、どうせ行ける場所が限られているのなら、誰もやらないことをやってみたい。そう思うようになりました。いや、断っておきますが、誰も「できない」のではなく「やらない」だけです。僕はふつうの人間ですから、そんな大したことはできません。誰にでもできることです。ただ、ちょっと目線を変えれば、自分ならではのテーマを見つけることができるんじゃないか、と。
それが「花のきた道」です。
基部被子植物(Basal Angiosperm)と呼ばれる原始的な被子植物の一群を、片っ端から写真に収めて(全種は不可能だけど)、ずらっと並べてみたらどうなんだろう。その中には野草愛好家や植物写真家が見向きもしないような地味な植物もあったりするけど、そういうものも本気で撮影して、その植物としての特徴と魅力を最大限に引き出してやる。全部を眺め渡してみると、1億数千年前の初期の被子植物(=初期の花)の姿というか、試行錯誤のあとというか、何か見えてくるんじゃないだろうか。
…いや、何も見えてこない気が、大いにしてるんですけどね。でもその撮影の過程で、少なくとも僕の中では何か感じられることがあるでしょう。本質は過程にあると信じましょう。
この半年間、いろいろ思い悩んだり、準備したり、国内の撮影に出かけたり、「花のきた道」を追いかけてきました。僕の予定では、さらっと1年ぐらいで片付けてしまいたいテーマだったのですが、来年の夏までかかりそうな気がしてきました…。例えば、自生が極めて限られているオニバス(スイレン科)。いろいろ詳しい方にあたってみたりしたのですが、今年は生育が悪いらしく、撮影はかないませんでした。さらに海外の植物にまで目をやると、厄介なのがたくさんあります。アマゾンのオオオニバスなんて、どうしましょうね…。
そんな厄介な植物のひとつが、これから向かう森に待ち構えています。オーストラリア北東部の熱帯雨林に自生するツル植物、オーストロバイレヤ・スカンデンス(Austrobaileya scandens)です。困ったことに、この植物は気をよじ登って樹冠で花を咲かせます。近くで撮影するためには、木に登らなくてはいけません。
オーストロバイレヤを今回のテーマの最難課題と捉え、半年間いろいろと準備してきました。完璧だったとは言えませんが、できるだけのことはやってきたと思います。ツリークライミングの講習を受け、いろいろと練習していたのもこのためです。詳しい自生地については、現地の研究者とメールのやりとりをして教えてもらいました。彼の話では、低い位置に咲くこともあるようです。でも、できることなら樹冠で咲く姿を捉えたいので、ギア類はすべて持っていきます。ちょっと許可に関してはっきりしないところがあり、どうなるかわかりませんが。
その他にも目当ての植物があるのですが、長くなりすぎたので、このあたりで。
今回はMacBook Airを持って行って、向こうでポケットWifiを借りるつもりなので、電波さえ入れば、現地からの新鮮な便りをお届けできるかと思います。Facebookが中心になるかと思います。どうぞお楽しみにしていてください。乱文につき失礼いたしました。
最後にお礼。
このテーマを思いついて、まず最初にいろいろと話を聞かせていただいた東京大学大学院総合文化研究科・伊藤元己教授。オーストロバイレヤの自生地について何度もメールのやりとりに付き合って下さったオーストラリア科学産業研究機構(CSIRO)のAndrew Ford氏。トリメニアの自生地について詳しく教えて下さった金沢大学大学院・山田敏弘氏。トリトゥリアの標本写真など、貴重な情報を提供して下さったクイーンズランド・ハーバリウムのMega Thomas氏。ツリークライミングの様々な技術について的確なアドバイスを下さった、近藤さんほかツリークライミングクラブみゃあの皆さん。
どうもありがとうございました。
2012年8月24日 関西国際空港にて
突然ですが、皆さんのまわりでは、いまどんな花が咲いていますか?
通勤や通学の途中、道端や空き地に咲くさまざまな野草。
人家の庭や花屋の店先に集められた、世界各地の花々。
私たちの身のまわりには、驚くほどたくさんの花があふれています。
日本人はおそらく、世界で最も花を愛でることの好きな民族のひとつでしょう。
その証拠に、花は日本人の文化や価値観に深く影響を及ぼしています。
なにも人を楽しませるために生まれてきたわけではないのに、
私たちはその存在に魅了され、多くの影響を受けている…不思議なものです。
では、いったい花はどこから、どうやって生まれてきたのでしょうか?
そんなことを考えたことのある人は少ないかもしれません。
しかし僕にとっては、とても興味をそそられる問題です。
多くの植物学者にとってもそうでした。
そもそも花は、被子植物にしかない生殖器官です。より「原始的」な裸子植物(針葉樹やソテツ、イチョウなど)には、花と呼べる器官はありません。両者の間には、はっきりとした隔たりがあり、その間を埋めるような植物はどこを探しても見当たりません。
花はまるで、ある日、こつ然と姿を現したかのように見えます。そしてあっという間に地球上を覆いつくし、25万種を超える圧倒的な生物群へと多様化したのです。かのチャールズ・ダーウィンは、花の起源と多様化を「忌まわしき謎(abominable mistery)」とまで呼びました。それほど古くから、生物学者・植物学者にとっては大きな課題だったのです。
花が生まれたのは、太古の昔のこと。誰も目にすることはできません。それでも、確かなことがひとつ言えます。花は手品のように、どこからともなく現れたわけではありません。祖先から子孫へとつづく進化の道のりを、確かに歩んできたはずなのです。それは、言わば「花のきた道」です。
研究者たちは、この「花のきた道」を少しづつ明らかにしてきました。
現在までに見つかっている最古の花の化石は、アーカエフルクタスです。1億2500万年前の白亜紀初期の地層から見つかりました。まだ恐竜が陸上を闊歩し、哺乳類はその片隅でほそぼそと生きていた時代の植物です。この化石は、たしかに原始的な花の特徴をいくつも備えていました。しかし、その解釈には議論があり、花の起源を突き止める決定打とはなっていません。
一方、現存する被子植物の系統関係(家系図のようなもの)が、’90年代から'00年代にかけて、次々と明らかになりました。そして、それまでさまざまな学説が提唱されていた「現存する被子植物の中で、もっとも原始的なものは何か」という問いに、ついに答えが出されました。
遺伝情報に基づく解析の結果、現存する被子植物の最も基部に位置づけられたのは、アムボレラという植物でした。ニューカレドニアのみに自生する低木で、ごく小く地味な花をつけます(7年前にこの花を実際に見ました)。同時に、アムボレラにつづく原始的な被子植物の一群も明らかになりました。それらはBasal Angiosperms(=基部被子植物…堅苦しい名称ですが)と呼ばれています。
たとえば基部被子植物は、私たちの身近なところにもあります。仏花として用いられるシキミ(シキミ科)。ぬめりのある若芽がお吸い物などに使われるジュンサイ(ハゴロモモ科)。溜池に清楚な白い花を咲かせるヒツジグサ(スイレン科)。百人一首にも読まれ、秋に赤く美しい果実をつけるサネカズラ(マツブサ科)。
ありふれた種も、希少種もありますが、これらはみな1億数千万年前の、花が生まれて間もない頃の植物の生き残りです。被子植物の起源はまだ明らかになったわけではありませんが、これらの植物を通して、私たちは原始の花の姿を感じることができるのです。
さて、ここまで前置きが長くなってしまいましたが、僕は今年から来年にかけて、この基部被子植物を被写体として追いかけ、「花のきた道」を見つめていきたいと思っています。日本に自生する種はもちろん、海外に自生する種も現地まで出かけて写真に収めます。全種はちょっと不可能でしょう。全属…も難しいかもしれません。しかし、代表的なものを、できる限り捉えるつもりでいます。
はたしてこのテーマが価値あるものなのかどうかは、いまだに確信を持てずにいます。
植物学者にとっては聞き飽きたような存在だし、ネイチャーフォトとしてみれば、あまりに理屈が先に立ちすぎているような気もします。それに、「高山の植物」とか「○○国の植物」というような一貫したテーマ性を見出すのも困難です。日本に自生する種を見ても分かるように、それらは原始的な植物という共通点はあるものの、まったくもって寄せ集めのような存在です。
こんな作品、誰も求めていないのかもしれません。そもそも「作品」と呼べるほどの写真が、自分に撮れるかどうかもわからない。でも、だからこそ、「俺ぐらいしか、やる奴いないだろう」と思えてきます。
基部被子植物は、初期の被子植物がさまざまな生き方に挑んだあとの、「燃えかす」のような存在だと思っています。断片的な燃えかすを集めたって、何も見えてこないかもしれないし、何かつまらないことが見えてくるかもしれない。
どうなるかは分かりませんが、やってみます。できるかぎりの写真を皆さんにお届けします。そして「花のきた道」を伝えていこうと思っています。
2012年7月3日 細川健太郎
【参考文献】
伊藤元己(2012)新・生命科学シリーズ「植物の系統と進化」,裳華房
Soltis, D. E. et al. (2008) Origin and Early Evolution of Angiosperms. Ann. N.Y. Acad. Sci. 1133: 3–25.
通勤や通学の途中、道端や空き地に咲くさまざまな野草。
人家の庭や花屋の店先に集められた、世界各地の花々。
私たちの身のまわりには、驚くほどたくさんの花があふれています。
日本人はおそらく、世界で最も花を愛でることの好きな民族のひとつでしょう。
その証拠に、花は日本人の文化や価値観に深く影響を及ぼしています。
なにも人を楽しませるために生まれてきたわけではないのに、
私たちはその存在に魅了され、多くの影響を受けている…不思議なものです。
では、いったい花はどこから、どうやって生まれてきたのでしょうか?
そんなことを考えたことのある人は少ないかもしれません。
しかし僕にとっては、とても興味をそそられる問題です。
多くの植物学者にとってもそうでした。
そもそも花は、被子植物にしかない生殖器官です。より「原始的」な裸子植物(針葉樹やソテツ、イチョウなど)には、花と呼べる器官はありません。両者の間には、はっきりとした隔たりがあり、その間を埋めるような植物はどこを探しても見当たりません。
花はまるで、ある日、こつ然と姿を現したかのように見えます。そしてあっという間に地球上を覆いつくし、25万種を超える圧倒的な生物群へと多様化したのです。かのチャールズ・ダーウィンは、花の起源と多様化を「忌まわしき謎(abominable mistery)」とまで呼びました。それほど古くから、生物学者・植物学者にとっては大きな課題だったのです。
花が生まれたのは、太古の昔のこと。誰も目にすることはできません。それでも、確かなことがひとつ言えます。花は手品のように、どこからともなく現れたわけではありません。祖先から子孫へとつづく進化の道のりを、確かに歩んできたはずなのです。それは、言わば「花のきた道」です。
研究者たちは、この「花のきた道」を少しづつ明らかにしてきました。
現在までに見つかっている最古の花の化石は、アーカエフルクタスです。1億2500万年前の白亜紀初期の地層から見つかりました。まだ恐竜が陸上を闊歩し、哺乳類はその片隅でほそぼそと生きていた時代の植物です。この化石は、たしかに原始的な花の特徴をいくつも備えていました。しかし、その解釈には議論があり、花の起源を突き止める決定打とはなっていません。
一方、現存する被子植物の系統関係(家系図のようなもの)が、’90年代から'00年代にかけて、次々と明らかになりました。そして、それまでさまざまな学説が提唱されていた「現存する被子植物の中で、もっとも原始的なものは何か」という問いに、ついに答えが出されました。
遺伝情報に基づく解析の結果、現存する被子植物の最も基部に位置づけられたのは、アムボレラという植物でした。ニューカレドニアのみに自生する低木で、ごく小く地味な花をつけます(7年前にこの花を実際に見ました)。同時に、アムボレラにつづく原始的な被子植物の一群も明らかになりました。それらはBasal Angiosperms(=基部被子植物…堅苦しい名称ですが)と呼ばれています。
たとえば基部被子植物は、私たちの身近なところにもあります。仏花として用いられるシキミ(シキミ科)。ぬめりのある若芽がお吸い物などに使われるジュンサイ(ハゴロモモ科)。溜池に清楚な白い花を咲かせるヒツジグサ(スイレン科)。百人一首にも読まれ、秋に赤く美しい果実をつけるサネカズラ(マツブサ科)。
ありふれた種も、希少種もありますが、これらはみな1億数千万年前の、花が生まれて間もない頃の植物の生き残りです。被子植物の起源はまだ明らかになったわけではありませんが、これらの植物を通して、私たちは原始の花の姿を感じることができるのです。
さて、ここまで前置きが長くなってしまいましたが、僕は今年から来年にかけて、この基部被子植物を被写体として追いかけ、「花のきた道」を見つめていきたいと思っています。日本に自生する種はもちろん、海外に自生する種も現地まで出かけて写真に収めます。全種はちょっと不可能でしょう。全属…も難しいかもしれません。しかし、代表的なものを、できる限り捉えるつもりでいます。
はたしてこのテーマが価値あるものなのかどうかは、いまだに確信を持てずにいます。
植物学者にとっては聞き飽きたような存在だし、ネイチャーフォトとしてみれば、あまりに理屈が先に立ちすぎているような気もします。それに、「高山の植物」とか「○○国の植物」というような一貫したテーマ性を見出すのも困難です。日本に自生する種を見ても分かるように、それらは原始的な植物という共通点はあるものの、まったくもって寄せ集めのような存在です。
こんな作品、誰も求めていないのかもしれません。そもそも「作品」と呼べるほどの写真が、自分に撮れるかどうかもわからない。でも、だからこそ、「俺ぐらいしか、やる奴いないだろう」と思えてきます。
基部被子植物は、初期の被子植物がさまざまな生き方に挑んだあとの、「燃えかす」のような存在だと思っています。断片的な燃えかすを集めたって、何も見えてこないかもしれないし、何かつまらないことが見えてくるかもしれない。
どうなるかは分かりませんが、やってみます。できるかぎりの写真を皆さんにお届けします。そして「花のきた道」を伝えていこうと思っています。
2012年7月3日 細川健太郎
【参考文献】
伊藤元己(2012)新・生命科学シリーズ「植物の系統と進化」,裳華房
Soltis, D. E. et al. (2008) Origin and Early Evolution of Angiosperms. Ann. N.Y. Acad. Sci. 1133: 3–25.
GWの後半は、大和田さんと一緒にどこか登ろう!ってことに。
大和田さんが雪山歩きを楽しめて、僕は滑りを楽しめる山、、、
いろいろ考えてみたんですが、2年前にも登った頸城の火打山に決めました。
ここなら登りも(ロングルートですが)滑りも楽しめます!
今回も前夜に登山口に入り、駐車場で一夜を明かすことにしました。
この日は5月4日…白馬岳で遭難事故のあった日です。
火打山の登山口、笹ヶ峰も強い風と雨で荒れた天気でした。
気温は8℃。山頂付近はきっと雪でしょう。
天気予報では明け方に雨が上がることになっているけど、、、
予報を信じて眠りにつくことにしました。
5月5日の朝、空はまだ曇っています。
晴れることを祈って、とにかく歩き出しました。
美しいブナ林の中を、テープと地図を頼りに進んでいきます。
十二曲の急登です。
雲が消えて、尾根越しに朝日がさしてきました(^_^)
このメンバー、いつも天気に恵まれてる気がします!
急登の先には大展望のご褒美が!
背後は戸隠連峰。
後立山連峰には雲がかかっています。
…ここからフラットになるんですが、まだまだ長いんです(^_^;)
高谷池ヒュッテに到着。
紘子さんはここまで。
僕と竜治さんは山頂を目指します。
前回も同じこと書いた気がしますが…信じられない雪の量です。
日本って、すごい国です。
山頂への最後の登り。
竜治さんがメチャクチャかっこよく撮ってくれました!
日本海側には雲海が広がってます。
山頂はスキーヤーで賑わってます。
さあ、僕もいよいよ滑降です!
真っ白な世界に飛び込んでいきます。
…前夜に降った新雪とザラメが交互にあらわれて、めちゃくちゃ滑りにくい(^_^;)
竜治さん、撮影ありがとう!!
もう一枚!
下山は富士見平まで大和田さんと一緒で、
そのあと僕は一人で沢を滑り降りることにしました。
沢の右岸は前夜の雨で全層雪崩をおこしていました。。。
ルートファインディングをミスらないように。
そして危険地帯で止まらないように。
緊張感のある滑りが続きます。
登山口には大和田さんより一足先に到着。
もうヘトヘトです。
ひさびさに全てを出しきった爽快感。
心が完全に解き放たれて、見るものすべてが美しく感じられます。
風に揺れる枝先のひとつひとつ。
流れる雲の輪郭。
雪の間から顔を出すフキノトウ。
脳内でなんか出てますね(^_^;)
こんな感覚が味わえるから、、、自然って素晴らしい。
大和田さんが雪山歩きを楽しめて、僕は滑りを楽しめる山、、、
いろいろ考えてみたんですが、2年前にも登った頸城の火打山に決めました。
ここなら登りも(ロングルートですが)滑りも楽しめます!
今回も前夜に登山口に入り、駐車場で一夜を明かすことにしました。
この日は5月4日…白馬岳で遭難事故のあった日です。
火打山の登山口、笹ヶ峰も強い風と雨で荒れた天気でした。
気温は8℃。山頂付近はきっと雪でしょう。
天気予報では明け方に雨が上がることになっているけど、、、
予報を信じて眠りにつくことにしました。
5月5日の朝、空はまだ曇っています。
晴れることを祈って、とにかく歩き出しました。
美しいブナ林の中を、テープと地図を頼りに進んでいきます。
十二曲の急登です。
雲が消えて、尾根越しに朝日がさしてきました(^_^)
このメンバー、いつも天気に恵まれてる気がします!
急登の先には大展望のご褒美が!
背後は戸隠連峰。
後立山連峰には雲がかかっています。
…ここからフラットになるんですが、まだまだ長いんです(^_^;)
高谷池ヒュッテに到着。
紘子さんはここまで。
僕と竜治さんは山頂を目指します。
前回も同じこと書いた気がしますが…信じられない雪の量です。
日本って、すごい国です。
山頂への最後の登り。
竜治さんがメチャクチャかっこよく撮ってくれました!
日本海側には雲海が広がってます。
山頂はスキーヤーで賑わってます。
さあ、僕もいよいよ滑降です!
真っ白な世界に飛び込んでいきます。
…前夜に降った新雪とザラメが交互にあらわれて、めちゃくちゃ滑りにくい(^_^;)
竜治さん、撮影ありがとう!!
もう一枚!
下山は富士見平まで大和田さんと一緒で、
そのあと僕は一人で沢を滑り降りることにしました。
沢の右岸は前夜の雨で全層雪崩をおこしていました。。。
ルートファインディングをミスらないように。
そして危険地帯で止まらないように。
緊張感のある滑りが続きます。
登山口には大和田さんより一足先に到着。
もうヘトヘトです。
ひさびさに全てを出しきった爽快感。
心が完全に解き放たれて、見るものすべてが美しく感じられます。
風に揺れる枝先のひとつひとつ。
流れる雲の輪郭。
雪の間から顔を出すフキノトウ。
脳内でなんか出てますね(^_^;)
こんな感覚が味わえるから、、、自然って素晴らしい。
これまた1ヶ月前の話になります(^^ゞ
今シーズンもぼちぼちとやってきたテレマーク。
ほとんど岐阜のスキー場で、あまり遠出はしなかったですね~。
山は、伊吹山に少し登ったり、奥美濃の山に入ったりが数回。
技術的には少し上達したような、あんまり変ってないような感じでしょうか。。。
「もっとうまくなりたい!」とか「極太板欲しい!」とか、
いろいろ目標はあるんですが、でもね、やっぱり僕は山が好きなんですよ。
パウダーとかそんなこと関係なく、苦労してスキーで雪山の頂上まで登って、
ヘタクソでもいいから滑って降りてこられたら最高なんです!
だから厳冬期より断然に春山がいい!
冬場よりずっと日が長いし、ポカポカと暖かい、雪はザラメ。
山が優しく迎えてくれるような感じです。
「ヘタクソでもいいから、楽しんできなよ!」と。
そんな感じで、「今年のGWにはどこに登ろう!?」とずっとワクワクしてました。
仕事も片付いて休みがとれたので、名古屋の友達に声をかけて、
まずは4/29、位ヶ原までのバスが開通したばかりの乗鞍岳を目指してきました!
前夜に三本滝駐車場に到着して、車中泊しました。
快晴の朝! バスを待つ列にならびます。
立山と違って観光客がほとんどいないので、乗鞍のほうが空いてるような気がします。
名古屋のなろちゃんは、モトクロス、MTB、ロード、釣り…と、アウトドアの達人。
今回は、なんと! ショートスキー&アルペンブーツで参戦してくれました!
一応解説しておきますと…
バックカントリーの装備ではないので、登りは終始「担ぎ」。
しかもブーツが硬くて歩きにくい…ってことです。
さて、位ヶ原山荘前からハイクスタートです!
大勢の人がゾロゾロと登っていきます。
…風がなくて暑いんですよ、これが。
すぐに急登になって、汗はだらだら出てくるし、息はあがるし…
体力の衰えを感じましたね(T_T)
一方、なろちゃんは余裕そうです。
肩の小屋に近づいて、コロナ観測所が見えてきました。
真っ青な空に、白い雪。
春山サイコーです!
稜線に出ました。
北アの盟主、槍穂高がどーんと広がります。
ワタクシ、あいかわらずバテてます。
こんなに辛いのは久々。。。
山頂の剣ヶ峰で記念撮影!
実は乗鞍は初めてなんですよね。
百名山登頂記録がひとつ増えました(^_^)v
御岳もよく見えてます。
いよいよドロップインです。
きた道を少し戻って、剣ヶ峰手前のコルから入ることにしました。
30度ちょっとの、気持ちよさそうな斜面です。
…でも緊張します。
思いきって飛び込むと…滑れね~!!
なんかもう、登りで疲れきった足はツリそうになるし、
腰は引けてるし、まったくもってイケてない滑りでした。。。
でも大斜面に飛び込む爽快感は十分に味わえました。
なろちゃんは初バックカントリーながら、無難に滑ってます。
このあたりの写真は…無いんですよね。。。
山頂斜面を滑り終えたら、
あとはツアーコースを下って駐車場まで戻ります。
黄砂のせいで全然滑らない雪ですが、そんなことはいいのです。
自分で登って、自分で滑って降りてくる。
それだけでもう満足。
今シーズンもぼちぼちとやってきたテレマーク。
ほとんど岐阜のスキー場で、あまり遠出はしなかったですね~。
山は、伊吹山に少し登ったり、奥美濃の山に入ったりが数回。
技術的には少し上達したような、あんまり変ってないような感じでしょうか。。。
「もっとうまくなりたい!」とか「極太板欲しい!」とか、
いろいろ目標はあるんですが、でもね、やっぱり僕は山が好きなんですよ。
パウダーとかそんなこと関係なく、苦労してスキーで雪山の頂上まで登って、
ヘタクソでもいいから滑って降りてこられたら最高なんです!
だから厳冬期より断然に春山がいい!
冬場よりずっと日が長いし、ポカポカと暖かい、雪はザラメ。
山が優しく迎えてくれるような感じです。
「ヘタクソでもいいから、楽しんできなよ!」と。
そんな感じで、「今年のGWにはどこに登ろう!?」とずっとワクワクしてました。
仕事も片付いて休みがとれたので、名古屋の友達に声をかけて、
まずは4/29、位ヶ原までのバスが開通したばかりの乗鞍岳を目指してきました!
前夜に三本滝駐車場に到着して、車中泊しました。
快晴の朝! バスを待つ列にならびます。
立山と違って観光客がほとんどいないので、乗鞍のほうが空いてるような気がします。
名古屋のなろちゃんは、モトクロス、MTB、ロード、釣り…と、アウトドアの達人。
今回は、なんと! ショートスキー&アルペンブーツで参戦してくれました!
一応解説しておきますと…
バックカントリーの装備ではないので、登りは終始「担ぎ」。
しかもブーツが硬くて歩きにくい…ってことです。
さて、位ヶ原山荘前からハイクスタートです!
大勢の人がゾロゾロと登っていきます。
…風がなくて暑いんですよ、これが。
すぐに急登になって、汗はだらだら出てくるし、息はあがるし…
体力の衰えを感じましたね(T_T)
一方、なろちゃんは余裕そうです。
肩の小屋に近づいて、コロナ観測所が見えてきました。
真っ青な空に、白い雪。
春山サイコーです!
稜線に出ました。
北アの盟主、槍穂高がどーんと広がります。
ワタクシ、あいかわらずバテてます。
こんなに辛いのは久々。。。
山頂の剣ヶ峰で記念撮影!
実は乗鞍は初めてなんですよね。
百名山登頂記録がひとつ増えました(^_^)v
御岳もよく見えてます。
いよいよドロップインです。
きた道を少し戻って、剣ヶ峰手前のコルから入ることにしました。
30度ちょっとの、気持ちよさそうな斜面です。
…でも緊張します。
思いきって飛び込むと…滑れね~!!
なんかもう、登りで疲れきった足はツリそうになるし、
腰は引けてるし、まったくもってイケてない滑りでした。。。
でも大斜面に飛び込む爽快感は十分に味わえました。
なろちゃんは初バックカントリーながら、無難に滑ってます。
このあたりの写真は…無いんですよね。。。
山頂斜面を滑り終えたら、
あとはツアーコースを下って駐車場まで戻ります。
黄砂のせいで全然滑らない雪ですが、そんなことはいいのです。
自分で登って、自分で滑って降りてくる。
それだけでもう満足。